【季節のしつらい】冬の杉はなぜ香りが変わるの?

60代

冬に読みたい植物の豆知識

冬のスギは“香りが変わる”って知っていますか?**

冬の森を歩いていると、ふっと鼻先に届く、静けさをまとったような香り。
あれは気のせいではなく、実はスギが冬ならではの香りを漂わせているからなのです。

◆ 冬のスギは、なぜ香りが変わるの?

樹木は呼吸をしています。
わたしたちが寒さで動きがゆっくりになるように、スギも冬は呼吸が落ち着きます。

気温が下がると、スギがもつ精油成分の放散がゆっくりになり、
香りがきりっと引き締まり、深く落ち着いた印象へと変わるのです。

夏のスギの香りが「すっきり、青々しい」だとしたら、
冬のスギは「低く静かに響く、深呼吸したくなる香り」。

同じ木でも、季節でこんなに表情が違うなんて…自然は本当におもしろいですね。


◆ 冬の森で感じる “静けさの香り”

冬の森には、ただ寒いだけではない独特の魅力があります。

・葉の水分が減ることで、香りがよりクリアに届く
・冷たい空気が香りを遠くまで運ぶ
・雑木の活動が静まり、スギの香りが際立つ

まるで森全体が息をひそめ、香りの輪郭だけがそっと浮かび上がるような…
そんな静けさの香りが感じられるのは、冬ならでは。

香りは記憶と結びつきやすいもの。
冬のスギの香りを知ることで、毎年の冬の散歩が少し特別な時間になりますよ。


◆ スギの香りが楽しめる“冬の小さな習慣”

冬の森まで出かけられなくても、日常でスギの香りを楽しむ方法があります。

◎ スギの葉を一枝だけ部屋に

花瓶に一枝さすだけで、ほのかに森林浴気分に。
冬のスギは香りが穏やかなので、強すぎず暮らしに馴染みます。

◎ スギの精油でアロマタイム

アロマディフューザーに1〜2滴。
冬の落ち着いた香りは、夜のリラックスタイムと相性抜群です。

◎ 散歩中に“香りの変化”を観察

12月〜2月は特に香りの変化がわかりやすい時期。
「今日は深い香りだな」「乾いた空気の日はキリッとしてる」
そんな小さな気づきが、季節を楽しむ心につながります。


◆ 自然の移ろいを、五感で味わう冬

季節を楽しむって、特別なことをしなくてもできるんですよね。
ただ歩きながら、少しだけ鼻を澄ませてみる。
それだけで、冬という季節の奥行きをふっと感じることができます。

冬のスギの香りは、言うなれば**“静けさをまとった森の挨拶”**。
この季節だけの贈り物を、ぜひ楽しんでみてくださいね。


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